大人も子どもも楽しめる創作絵本⑤
ここはとある道路の植え込みの中
気候も良くて花たちも美しく咲いています。
ピンクや赤いつつじの花が、見事に咲き乱れていて通りかかる人達も見惚れてしまってます。
「綺麗に咲いてるわね~」
つつじの花たちも誇らし気です。
そんなつつじを見て、足元で咲いているタンポポはちょっと面白くない様子。
「私たちは空を飛んでここまできたのよ」
タンポポは自慢します。
「遠くの公園からここまで、風に乗って飛んできたの。空の旅は素敵だったわーーー!」
つつじに聞こえるように大きな声で主張します。
むっとしたつつじ。
気が付いたら自分はずっとここで育って、もちろん移動もできない。ちょっとうらやましいなと思いました。
すると上からまた声が
「私も遠くから旅してきたわけではないけど、こんなに高いところから周りを見渡せるのよ。中々楽しいわよ」
そんな自慢をしてきました。
桜の木でした。
確かに大きな桜の木は、きっと遠くまで見えるだろうし、足元にいるつつじやタンポポからは想像ができない世界。
つつじとタンポポは、桜の木がうらやましくなりました。
桜の木はちょっと得意気。
それからしばらくして、バラの花の茂みが運ばれてきて、つつじ、タンポポ、桜の木の植え込みの目の前にある建物に運ばれてきました。
建物の入り口の花壇の中に、バラは植えられました。
「こんにちは、あなたはどこから来たの?」
タンポポが聞きました。
「私はフランスから来たの」
バラが答えます。
「フランス~!?」
みんなびっくり!!
「どんなところなの?フランス?」
「なんでそんな遠いところから?」
「他にも来た花はいるの?」
タンポポ、つつじ、桜の木は畳みかけるように聞きます。
「フランスにしかないみたいなの、私。だから飛行機で運ばれてきたの。この研究所の中にも仲間がいるわよ」
そういえば、この建物は何なのか、花たちはよく分かっていませんでした。
「あなたはここがどこか分かってるの?」
みんながバラに聞きます。
「ここは宇宙ロケット研究所よ。私たちの仲間が今度、宇宙飛行士の方と一緒に宇宙へ行く予定なの。だからフランスから運ばれてきたのよ」
そんなところだったとは、みんなは知りませんでした。
宇宙ロケット研究所の敷地の中と外では、世界が違うんだなぁと、みんなは思いました。そのことをバラに話をすると
「どこも同じじゃなあい?」
あっけらかんと答えました。
「どこにいても、太陽の陽の光があって、水があって、空気があれば、生きていけるんだから」
そうして1年後、バラは宇宙へと同行して旅立っていきました。
実はその時につつじとタンポポと桜の木も、一緒に宇宙へ行ったそうです。
新しい環境でみんな、どんな生活をするのかな?
それが分かるのは、1年後のみんなが戻ってきたときです。